本屋業suiranのこと
下校中
小学一年生の下校時刻が通勤時間のため、いつも黄色い子どもたちが歩道で遊んでいる。今日は道路を横切る何かを必死に追いかける三人組がいた。一人が大きく手をふって車を止めて、もう一人が道路に入っていく。残りの一人は静かに眺めている。車数台先で起こっている何事かに目をこらすと、アスファルトの上で小さなスズメがぴょこぴょこ跳びはねていた。一人が両手ですくい上げ、道の反対へ運ぶと、うまく飛べずに手の中で暴れるスズメを愛おしそうに見つめていた。

小学生の頃の記憶を掘り返すと、学校からの帰り道にいろいろなことが起きていた。田んぼで泳ぐホウネンエビを見つけて新種だと思い込んで興奮したのも、弱ったネズミやコウモリを救出して家に持ち帰ったのも下校中だった。ヘビを捕まえて校長先生に見せびらかしに行ったこともある。友達が骨折したり、どぶ川でランドセルが流されたり、ちょっとした事件も下校中の出来事。歩道橋の上で突然の夕立に襲われて、高いところは危ないと全力で階段を駆け下りた。歩道橋を使わずに横断歩道を渡る同級生が少し大人に見えた。指で落書きができる建物の壁に、知ってる名前がたくさん並ぶ相合傘があった。あれは誰がいつ書いたんだろうか。

複雑で新鮮な感情の多くを、下校中に初めて味わった。今日見たあの子も、スズメが手の上で羽ばたく感覚をいつか思い出すかもしれない。家に帰るまでが学校というのはあながち間違いではないようだ。
by suiran-books | 2014-05-29 00:23 | あさっての方向 | Comments(2)
Commented at 2014-05-31 00:00 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by suiran-books at 2014-05-31 00:16
ありがとうございます。
頭の中で忙しなくぐるぐるまわっている言葉を整理する練習として、本以外のこともぽつぽつ書いていきたいです。「言葉にならない」を言葉にする、ちょっとした訓練です。
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