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#005-006 雪あかり日記、せせらぎ日記
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建築家谷口吉郎がドイツへ赴いたときの紀行文集です。
現地は真冬の時季で、回想した情景がタイトルに付けられました。

1938年、谷口吉郎34歳、息子の吉生が生まれた翌年に日本を発ちました。渡航の目的は、ベルリンの日本大使館の改築に伴い日本庭園を造園するため。

時代は第二次世界大戦のまさに前夜。緊迫した情勢の中、谷口はヨーロッパ中を避難するように巡りながら、各地の名建築に触れました。悪化の一途をたどる国際関係に翻弄され続け、帰国するのもかなり苦労し、航路の潜水艦を警戒するために一度ニューヨークへ渡り、アメリカ大陸を横断して西海岸へ、そしてまた船に乗りこみやっとの思いで帰国することができました。日本を発ってからちょうど一年後のことです。

ベルリン滞在記に加え、見て回った建築物に関する意匠のこと、造られた時代や文化・様式のこと、美に対する思いなど、建築家の視点からも多くを語り、小さなスケッチも添えられています。また、日本や東洋の建築に思いを馳せている(比較している)点も印象的です。

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こうして谷口が巡った建築の多くは大戦によって破壊され、消失してしまいました。
当時のドイツ周辺の様子を今に伝える貴重な渡航記となっています。


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『雪あかり日記』が出版されてからおよそ30年後、谷口が亡くなった翌年に『せせらぎ日記』が刊行されました。
『雪あかり日記』はドイツ、ベルリンでの思い出が中心になり、『せせらぎ日記』はその他の地域での生活、また戦況迫るヨーロッパの様子などがまとめられています。
本書の編纂に関わった息子の谷口吉生も父と同じく建築の道へ進み、ニューヨーク近代美術館新館の設計に携わるなど、世界を舞台に活躍しています。父子ともに実にダンディです。


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同時期に活躍した丹下健三や村野藤吾に比べると、谷口吉郎に関する出版物は少なく、知名度という点では若干劣りますが、自身でも述べている「清浄、清冽な意匠」は手がけた建築に生き続けています。


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『雪あかり日記』『せせらぎ日記』ともに目立ったダメージはありません。
ビニールカバーも付いています。

『雪あかり日記』の145ページから153ページにかけて、小さな折れ跡があります。
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雪あかり日記
著者:谷口吉郎
出版社:中央公論美術出版
サイズ:155mm×192mm
ページ:234ページ
出版年:昭和54年発行 再版
商品番号:005
価格:sold

せせらぎ日記
著者:谷口吉郎
出版社:中央公論美術出版
サイズ:155mm×192mm
ページ:236ページ
出版年:昭和55年発行 初版
商品番号:006
価格:sold


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tutiya0606[at]gmail.com
([at]を@に変えてください)
by suiran-books | 2014-02-05 12:03 | 古本の通信販売
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