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カテゴリ:本と記憶の記録( 3 )
千明仁泉亭の蔵書
知人からご紹介いただいたのは今からちょうど一年前、本格的に寒くなる少し前のことです。「知り合いの旅館の蔵書を整理してほしい」そんなお話でした。

「すごい」とは聞いていたものの、実際に訪れてみると想像をはるかに超える本の数で、どこからどう手をつければいいものか。しかも、今までに見たことも触れたこともない本ばかりでした。

その旅館は創業500年の歴史をほこる伊香保の千明仁泉亭。
500年といわれてもなかなかピンときません。
ただ、本とともに眠っていた古道具や民具、掛け軸などから、その積み重ねられた時間を少し覗くことができたような気がします。


 千明仁泉亭にあってほしい本
 この先ずっと残しておきたい本
 訪れたお客様に閲覧していただきたい本

何万冊の本をより分けて汚れを落とし、補修を施してグラシン紙を巻く。黙々と本に触れるのは、いつもとても楽しい時間です。
半年をかけてようやく数百冊が旅館の蔵書となりました。

若女将の話によれば、先代、先先代が特に本がお好きだったようで、その時代に買い求めた本がほとんどだとか。趣味の狩猟や煙草の本、日本と海外の文化・風習にまつわる本、なかでも多かったのは温泉や旅の本で、表紙からユニークで心躍りました

千明仁泉亭は明治の文人徳冨蘆花の常宿だったこともあって、稀少な著書もたくさん出てきました。代表作『不如帰』には千明仁泉亭の描写があるほど愛されていました。


まだ少し先のことになりそうですが、千明仁泉亭を訪れたとき、その圧巻の蔵書を眺められる日が来るはずです。




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千明仁泉亭の蔵書



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本に紛れていた先代のコラージュ写真。おそらく海外の雑誌を切り抜いて作成したものです。本物の格好よさを見ました。

 
 
 
by suiran-books | 2016-11-08 22:00 | 本と記憶の記録 | Comments(0)
麦小舎に「Oさんの本棚」ができました。
Oさんのお宅に並んでいたのは山や自然の本でした。

自分だったらその本をどこで読みたいだろう。都会の真ん中で本の世界に緑を感じるのも悪くないけど、せっかくならページから顔を上げると近くに山が見えるようなところがいい。

僕の思い描く理想に、麦小舎がぴったりあてはまりました。
麦小舎は群馬県の北軽井沢に佇むブックカフェです。長く厳しい冬を越え、春の訪れとともに“小舎開き”をします。束の間の夏は植物も動物も生き生きとし、高原の心地よい空気をからだで感じることができます。店内の壁一面を覆う蔵書は圧巻です。

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「コーヒーと鳥の鳴き声をお供にOさんの本を読みたいです」
麦小舎オーナーの藤野さんご夫婦にそんな想いをお伝えしました。

後日、藤野さんのご厚意によって本をお届けすることが叶い、麦小舎の店内に「Oさんの本棚」が誕生しました。

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こちらの本は読むことも眺めることも、もちろん買うこともできます。

どこをとってもすばらしい本たちですので、冬が来る前に、時間にゆとりをもっておでかけください。


麦小舎
群馬県吾妻郡長野原町北軽井沢1990-3407
*営業日時はホームページをご確認ください。
by suiran-books | 2016-07-21 22:30 | 本と記憶の記録 | Comments(0)
Oさんの本棚
先日、出張買取先でひとつの本棚に出会いました。

そこに収まる本はすべてパラフィンで丁寧に包まれて、並び順には意図が見え、背表紙の位置で美しく整列していました。各地の古本屋へでかけて収集した時間。読み込まれた時間。手間をかけた時間。本棚と向き合ったとき、あふれる時間と愛情があまりにも伝わって、それはもう触れることすら迷うほどでした。


買い取りにうかがうと、そこには必ずストーリーがあります。
明るいものも悲しいものも美しいものも、それはさまざまです。

「本は記憶とともにある」

ストーリーに触れるたび、いつもそんなことを感じていました。


大きくて印象的な本棚がきっかけとなって、買い取りさせていただいた本を次の方へお届けする活動とともに、本がそこにあった記憶を記録する活動もしていこうと決めました。

記録のお手伝いをしてくれるのはカメラマンの上原ミワさんです。



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その本棚はOさんのお宅にありました。
ほとんどが山や自然の本で、特に、串田孫一、辻まこと、尾崎喜八、ヘッセの著書が多かったです。旦那さまが初めて貸してくれた本が辻まことの『すぎゆくアダモ』だったと、奥さまが恥ずかしそうに教えてくれました。

Oさん宅は建て替えのため取り壊しが決まっていて、この機に本も整理することを決断。

良い色に育った本棚と、さまざまな時間を含んだ本の記録です。





Oさんの本棚




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by suiran-books | 2016-07-02 10:00 | 本と記憶の記録 | Comments(0)