本屋業suiranのこと
アメリカンカルチャーの教科書
『relax』という雑誌が2006年に休刊した。当時は読んでいなかったし、いまでもときどき見かけるぐらいで、どんな雑誌だったのかよくわからない。“他にない、とがった、かっこいい”内容だったとは聞いていた。


- - -



表紙の付いていないペーパーバックは目を引く。『果てしのない本の話』、タイトルも気になった。帯には「本書に登場する本」が書いてあって、片岡義男、ホンマタカシ、大橋歩、庄司薫...古本屋で見かけたら手に取る名前ばかり。この本にはsuiranで扱うような本がたくさん出てくるらしい。なんだなんだと少し読んでみてもよくわからなかった。知らない単語が多すぎた。ただ「知っておいたほうがたのしいこと」が書かれていると直感した。

著者の岡本仁さんは『relax』の編集長を務めた他、『BRUTUS』や『ku:nel』の編集に携わってきた。長年蓄積した知識や経験の量がすごそうだ。『果てしのない本の話』では、それらが気心の知れた友人とおしゃべりでもするように披露されている。片岡義男の『ロンサム・カウボーイ』を皮切りに、主にアメリカの生んだヒト、モノ、コトが連想ゲームのようにつながっていく。そのほとんどは、岡本さんが現地で過ごした時間をベースにしている。不思議と日本とのつながりが多くておもしろい。

世界をぐっと広げてくれる本に出会えた。知らない単語が出てくるたびに検索するから、ページはなかなか進まない。学校で使っていた教科書のようにあれこれ書き込みたくなる。時間をかけて読み終えたら、いつでも読み返せるように手の届くところに置いておこう。


- - -


アメリカンカルチャーの教科書_e0200305_18385619.jpg

あしか図案の殿岡さんは『relax』をリアルタイムでたのしんでいた世代。打ち合わせの席でこの本を紹介すると、目を輝かせてうれしそうに眺めていた。こうなったら『relax』も読んでみたい。
by suiran-books | 2015-02-23 20:37 | 本のこと
<< 本を浴びる 前橋のbook stand レ... >>